「探偵って合法なの?」「依頼したいけど、違法なことはちょっと…」と、探偵にあまり良いイメージを持っていない方々に向けて。今回は探偵業の違法・合法のボーダーラインについて解説していきます。
中には、尾行や盗聴が「違法なのではないか?」という不安から探偵を敬遠されている方もいるでしょう。
今回は、現役の探偵にお話を伺い、実際の調査手法が合法なのかについても解説します。
この記事の監修:MJリサーチ綜合探偵社さん

MJリサーチ綜合探偵社・マコトくん
MJリサーチは、探偵をもっと身近な存在にするために、大手総合探偵社から独立したメンバーが集まり新設した探偵社。
20年以上の調査経験を持つプロの調査員による安心と信頼の調査を、個人及び法人の依頼主様、顧問企業様に提供する。
ちなみに、マコトくんはMJ Researchの頭文字MJRをもじっている。
探偵業は合法?
探偵は違法な存在なのでしょうか?それとも合法なんでしょうか?
まずは、探偵は合法な存在なのか?という疑問にお答えします。
探偵は国に認められた職業
まず、日本の法律で探偵業は「合法」です。
探偵を始める前に各都道府県の公安委員会に探偵業開業の届出すれば、探偵として活動することができます。

探偵になるのに資格は必要ないので、届出を出せば探偵になれます。
しかし、探偵に特権があるわけではない
ただし、公安に開業届を出したとしても、探偵に特権が与えられるわけではありません。警察のように拳銃を持ったり、悪人を逮捕する権利はありません。
また、調査中に法律を破ったら、一般人と同じように逮捕されます。

探偵は、いわばスーパーヒーローなんです。
国から与えられた特権などがあるわけでは無いけど、その能力と経験で一般人にはできないことを行い、困っている人の問題を解決する。探偵とは、そういう職業です。

確かに、スパイダーマンやバットマンも、悪党を懲らしめた後警察に引き渡しますよね。
探偵の調査方法は合法?
探偵は、依頼人からの依頼に基づき、様々な調査を行います。そうした調査は合法なのか、気になりますよね。

結論から言えば、尾行や張り込み・聞き込みなどどんな調査方法も基本的に合法です。
しかし、調査中に取る行動によっては、違法行為になることがあります。ここからは、各調査ごとに、その調査の内容とその合法性を解説します。
探偵の尾行調査
尾行調査は、基本的に合法です。日本では、尾行自体を取り締まる法律はありません。尾行は、探偵ときいて一番に思い浮かべることかもしれません。
これは、調査対象やその周辺の人物の後をつけてその行動を監視し、証拠になりそうなシーンがあれば撮影・記録する探偵の基本的な調査方法の一つです。

浮気調査では、ほぼ必ず行われていますね
尾行はストーカーにならないの?
さて、そんな尾行調査ですが、皆さんの中には

尾行って、ストーカーじゃないの?
と思われる方も多いでしょう。

しかし!探偵が仕事として尾行を行う場合は、ストーカーにはなりません!
ストーカー規制法には
特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で…
警視庁|ストーカー規制法
とあります。
つまり、感情を満たすことが目的で尾行した場合はストーカーとなるわけです。
探偵は、依頼者から報酬をもらい、仕事として尾行を行います。その原動力に、感情は含まれません。
そのため、探偵はストーカーにはならないというわけです。
気付かれているのに尾行を続けたら違法
尾行対象者に気づかれているのに尾行を続けてしまうと、軽犯罪法1条28号に違反する調査となる場合があります。
これは「追随等の罪」と呼ばれます。
軽犯罪法第一条 二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
e-Gov|軽犯罪法|軽犯罪法
またこのほか、それぞれの地方自治体によって定められている条例違反に問われる可能性もあります。
探偵が尾行調査をする場合には、本人に気づかれないように尾行するか、「本人同意の上で」尾行を行うことになります。

ストーカー調査で行う「見守り調査」は、合意の上での尾行の良い例と言えるでしょう。
探偵の聞き込み調査
次に、聞き込み調査の概要と合法性を見ていきましょう。
調査対象人物の周りの人に対して、情報提供を受ける目的で聞き取りを行うのが「聞き込み調査」。
警察のような法執行機関でも捜査によく使われる手法であり、探偵にとっても多くの依頼で重要となる調査のひとつです。
聞き込み調査についても、基本的には合法で、どのような聞き込み行為も制限されません。

聞き込みをする上で、「対象者の友人」や「上司」など身分を偽って聞き込みを行ったりすることも、法的には特に問題ありません。
ただし、例えば警察などの服装などを模造したり、自分が警察官だとうそをついて聞き込み調査を行った場合には、軽犯罪法1条15号に定める「官名詐称」や「標章等窃用」に問われる可能性があります。
またこのほか、
- 調査対象者の「嘘のウワサ」を流す
- 対象者の信用を貶めるようなことをする
- 調査対象者の業務・営業を妨害する
などをした場合には、刑法233条に定める「人の信用を毀損し」や、「又はその業務を妨害した者」に該当する場合があります。
これは一般的に、「信用毀損罪」「(偽計)業務妨害罪」と呼ばれます。
電子機器を使った調査
GPSや盗聴器などの技術が進化し、誰でも気軽に買える時代となりました。
では、このような機器を調査で使うことは許されるのでしょうか?
GPS
GPSを仕掛けることは、基本的に合法でした。
しかし、2020年5月18日に改正ストーカー規制法が成立したことで、取り付け対象の許可なくGPSを取り付けることは違法となりました。
なので、今後効果が期待できてGPSが仕掛けられるものは
- 自分が保有しているもの
- 自分とパートナーなどで共同保有しているもの
と、なるようです。

対象者のカバンや持ち物に仕掛けるのはまずいですが、例えば車や自転車、家屋など共同保有しているものなら盗聴器を仕掛けることができます。
盗聴器・ボイスレコーダー
意外に感じる方もいるかもしれませんが、日本では「盗聴罪」という名前の罪はありません。
よって、探偵が調査手段として盗聴・録音を行ったとしても犯罪にはなりません。
ただし、
- 盗聴器やボイスレコーダーを設置するために住居に入った
- 機器を設置する際に何か物を壊した
という場合には刑法130条「住居侵入罪」あるいは刑法261条「器物損壊罪」の適用がありえます。
また、・盗聴した内容を第三者に漏らすと、電波法・電気通信事業法に違反してしまいます。
また、実際に調査に使用するだけではなく、盗聴器の種類や特徴に詳しい探偵は、むしろ本人の同意なく仕掛けられている盗聴器を発見する業務を請け負うこともあります。

「自宅に盗聴器が仕掛けられているかもしれない…」と不安に思っている方はぜひ一度探偵にご相談ください。
探偵の潜入調査
最後に潜入調査について、その概要と合法性を解説していきます。
建物の中に入って、証拠を集めたりといった調査を行う潜入捜査は、探偵というよりスパイがやってそうなことですよね。

潜入調査という言葉のイメージとは裏腹に、探偵が建造物の中や敷地内を調査する場合には、大家さんや家主・住居者の許可が必要です。
公開されていない(誰でも入れるように開放されているわけではない)敷地や建物への同意のない侵入は、当然のことながら刑法130条に定める「住居・建造物侵入罪」となります。
また、潜入捜査をしていて発見した郵便物などを開封したり、持ち帰った場合には、刑法133条に定める「信書開封罪」や、刑法235条に定める「窃盗罪」となります。

しかし、個人宅に侵入して証拠品を収集してくるといった犯罪行為を行う探偵はほとんどいません。
いたとしたら、それはシンプルに泥棒です。
探偵は合法に調査を行うプロフェッショナル
いかがだったでしょうか?探偵が行う調査は以下の通り。
- 尾行・張り込み調査
- 聞き込み調査
- 電子機器を使った調査
- 潜入調査
これら全て合法であることがわかったと思います。
「危険だ」「怪しい」といったイメージが、少しはなくなったのではないでしょうか。
探偵は、法律を守った上で依頼人の期待に応えているのです。

何度も言いますが、探偵には特権はありません。
探偵も一般人と同じように法律が許す範囲でしか調査できません。

だからこそ、我々探偵は日々技術を磨き、思考を重ねて依頼者にとって最高のサービスを提供できるよう努めています。
この記事を読んで探偵を少しでも身近に感じていただけたら幸いです。