【相続人調査徹底解説】遺産相続の時に!相続人調査を依頼する際に知っておきたい事とは

超高齢社会を迎えた日本では、「相続」が社会問題の1つとなっています。遺産の相続人が不在または不明の場合、そのお金が国庫として納付される仕組みであり、2017年に国庫として納付された遺産は、500億円を超えています。

遺産分与をする際には、相続人調査の正式な手続きをしておくことが大切です。今回は、相続人調査の方法や依頼先まで「相続ってどうやってやるの?」という疑問を解決します。

相続人調査とは?

相続人調査とは、相続人が誰であるかを調べる作業のことを指します。亡くなった人の遺産を相続する権利を持つ人を全員リストアップするための調査だと考えると分かりやすいでしょう。

相続人調査が必要になる場合

相続人調査が必要になる場合は、主に2パターンに分けられます。

1.遺言書に全ての遺産分配について記されていない場合

なるべく遺言書に沿って遺産分配をするとしても、そこに記されていない他の遺産を誰にどう振り分けるかで揉めてしまうことは多く、相続権がある人全員をリストアップした上でルールに則って分配する際に役立ちます。

2.遺留分請求をする場合

遺留分とは、法律で一定分保証されている相続のことであり、相続人であれば遺言書にかかわらず請求することができます。自分や家族が相続人であることを証明するために調査を行うケースもあります。

参照:裁判所|遺留分侵害額の請求調停

相続人調査の流れ

では実際にどう相続人調査が進んでいくか、流れを確認していきましょう。

1.被相続人(死亡者)の本籍地を調べる

まずは、被相続人の本籍地を調べます。現在の住民票を本籍地入りで取り寄せることで確定できます。

2.本籍地で死亡時の戸籍を取得

次に、本籍地にて死亡時の戸籍を取得します。親族関係を調べるためには本籍地の市役所で手続きです。

3.過去の戸籍謄本を出生児まで遡ってたどる

出生時まで過去の戸籍を遡ります。1つ前の段階で入手した戸籍を調べ、途中で本籍を移しているようであれば過去の本籍地まで出向いて再度情報を取得します。

4.相続人を確定する

過去の履歴が全て分かれば血縁関係をリストアップできますので、そこから相続人に当たる人を明確にしていきます。

相続人調査はなぜ大変なのか

遺産相続を行う際は、相続人全員の同意を得た遺産分割協議書を作成するのが一般的です。後から遺産に対する不平・不満を言われないようにするための防衛手段として非常に有効ではありますが、「相続人全員」の同意を得なければならない、という点に注意が必要です。

相続人を1人でも見落としてしまった場合、手続きを1からやり直す必要も出てきます。面倒でも、きちんと相続人調査を経てから手続きをするのがよいでしょう。

そもそも「戸籍」とは何か

次に、遺産や相続の話になると必ず出てくる「戸籍」というものについて解説します。

「戸籍」とは何か

そもそも戸籍とは、生まれてから亡くなるまでの親族関係が全て登録された情報のことです。生年月日や両親の情報はもちろん、結婚歴、離婚歴、出産歴、養子縁組歴、認知歴などありとあらゆる履歴が分かります。

戸籍には様々な種類がある

一口に「戸籍」と呼んでも、実は様々な種類があることをご存知でしょうか。1つずつ内容をみていきましょう。

戸籍謄本

戸籍といえば戸籍謄本を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。戸籍謄本とは、戸籍に登録されている全員の生年月日や身分情報を記した書類のことを指します。

除籍謄本

除籍謄本とは、戸籍に登録されている人を全員抜いた謄本のことを指します。結婚・離婚・転籍・死亡により戸籍から抜けた人の証明をする際に活用します。

改製原戸籍謄本

改製原戸籍謄本とは、法律が改正される前の戸籍のことを指します。平成の法律改正以降に生まれた人であればこれを用いませんが、それ以前に生まれた人の相続手続きであれば、取り寄せる場合があります。

自分でできる相続人調査

相続人調査は、時間と費用をかければ自分で行うことも可能です。被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍情報を全て入手することが1つの目的ですので、本籍地に出向くか郵送で依頼を進めます。

しかし、実際に全ての手続きを1人で行うのは非常に手間がかかります。どの役所のどの窓口に、どの書類を依頼すればいいのか、届いた戸籍のうち相続人に当たるのが果たして誰なのか、自分で勉強しなければ進める必要があります。

相続人調査は誰に依頼すれば良いの?

では相続人調査を外注したい場合、誰に依頼するのがよいのでしょうか。ここでは、4つの候補について紹介します。

弁護士

弁護士は、戸籍謄本などを代理で取り寄せることができます。依頼主に代わって仲介役となることで、他の相続人に対し連絡を取ることも可能です。

相続人調査だけでなく、連絡役としてパイプになってくれる人がほしい時に心強い存在です。

行政書士

行政書士も、職務上請求書を活用しながら各市役所から戸籍情報を収集してくれます。分かりやすく家系図や早見表を作成してくれる事務所がある一方、仲介人として他の相続人に連絡したりトラブル解決のために動いたりはしてくれないという現状があります。

司法書士

司法書士に依頼して相続人調査をしてもらうことも可能です。また、遺産分割協議書を作成するに当たり、記載しておいた方がいい項目のアドバイスや抜け・漏れのチェックをしてもらえます。

しかし、相続人調査に慣れていない司法書士事務所もありますので、事前によく調べてから依頼した方がよいでしょう。

探偵事務所

探偵事務所でも相続人調査を請け負っています。豊富な人員を使って短期間で戸籍情報を収集することはもちろん、音信不通で連絡が取れない相続人を探し出すなどの面でも力になってくれることが多く、「人探しが得意」というメリットを存分に活用できます。

相続人調査の費用

相続人調査を各事務所に依頼した場合、およそどれくらいの費用がかかるのでしょうか。被相続人の年齢や戸籍の変遷によって左右されることもありますが、ここでは概算を紹介します。

弁護士事務所

弁護士に依頼する場合、約2~5万円程度が相場です。仲介人として相続人に連絡してもらう場合はプラス料金が発生することが大半です。

行政書士

行政書士に依頼する場合、約1~3万円程度が相場です。相続人の人数によって変動することもあります。

司法書士

司法書士に依頼する場合、行政書士同様に約1~3万円程度が相場です。遺産分割協議書の作成に関するアドバイスもセットで行う場合、その料金が加算されます。

探偵事務所

探偵事務に依頼する場合、約2~5万円程度が相場です。音信不通の人の居場所特定までお願いする場合は、もう少し多めの見積もりになるかもしれません。

相続人調査は専門家に依頼しよう

相続で揉めてしまうことは多く、全員納得する形で落ち着かせるために多くの時間とお金をかける人は少なくありません。被相続人の意志も尊重しながら分配できるよう、面倒でも相続人調査を欠かさず行いましょう。

また、調査の際は専門家の力を借りるのがおすすめです。見落としや勘違いによるトラブルを防ぐためにも、ノウハウをもった事務所の力を頼りましょう!

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