現役の探偵さんにお話を伺う連載、【現役探偵に聞いてみた!】
第二回は、キャリア20年!全力探偵社の藤原さんにお話を伺いました。
探偵になるまでのキャリアや、探偵業界のリアルなど最前線で活躍しているからこそご存知のお話をお聞きしました。
目次
全力探偵社さん

今回お話を伺う全力探偵社・藤原さんはキャリア20年のベテラン女探偵!
東京に拠点をおき、その確かな実力と依頼者と向き合う誠実な姿勢で数々の依頼を解決に導いてきました。
料金は安さだけではなく、明確さでも探偵業界随一。非常に信頼のおける探偵事務所です。
Youtube

なんと再生回数は脅威の200万回超え…!ただ、スライドショー形式なので収益化はできていないんだとか…(笑)
面白い投稿が沢山!個人的にはiPhoneのバッテリー交換動画、参考になりました…!!

探偵ならではの調査こぼれ話も…。

アメブロ

全力探偵社さんが更新されているブログ。どれも、興味深いトピックスばかり!
探偵になるまで…
探偵として長年活躍している藤原さん。
しかし、探偵になるまでに、様々なキャリアを積まれたようです。

音楽業界から当時風当たりの強かった派遣社員に
学校を卒業した後、音楽業界で一年半くらい働きました。
ただ、何か物足りなくて。それで、様々な職種を経験できるかもと思い、当時は偏見の塊だった派遣社員になりました。
派遣会社では、いろいろな職種を経験しました。
誰もが知っているような大企業、貿易関係の会社、あのエンタメ企業の事務方など本当にたくさん。

どの仕事もやりがいはありました。
ただ、何かが物足りなかった。
さまざまな仕事を経て探偵の道へ
そうやって、社会に出てから長い月日が経った頃、同僚が探偵の求人を持ってきたんですよ。
なんでか分からなかったんですけどね、私がポロっと探偵になりたいって言ったのかな(笑)
このチャンスを逃したら次は無いと思って、その探偵社に応募しました。その時から、私は探偵になったんです。
年齢的には結構遅めだったと思っています。その探偵事務所は、今もあるフランチャイズの探偵社の支部でした。

そこは結構実力のある支部で、そこでの仕事で、探偵として多くのことを学びましたね。
独立へ
その探偵事務所では3年程、無我夢中で働きましたが、ある時、ご縁に恵まれて会社を移り、その後代表となり、今に至ります。

私は東京の近県で探偵になり、東京で開業し、20年間探偵として仕事をしてきました。
今までの調査で印象に残っていること
たまに衝撃的なケースはあっても、ほとんどは地味な仕事だといいます。


やっぱり、対象がバリ警(バリバリ警戒している)のケースは困難も多かった分、印象に残っていますね。
階段をダッシュで降り切って振り返り、誰かが尾けてきてないか監視してたり、路地を曲がるたびにチラ見したり。物陰に隠れて様子を窺っていたり、双眼鏡で覗いてる人も居ました(笑)

浮気相手複数マダムも衝撃でしたね。
まさかの浮気相手が2人いたんですよ!(笑)尾行してみると、1人目と会って、別れた後に2人目に会いに言って、2人目と別れた後に、また1人目の所に戻って行ったんです(笑)。しかもそれぞれとがっつりお食事してました。すごい胃袋と体力だな、と感心しちゃいましたね!
その調査のご報告に行った相談員曰く、依頼者様は唖然としていたそうです。
まあ、そんなユニークな話もありますが、大体の現場は地味で厳しいものです。
ホカロンが全然あったまらないほどの極寒の中、何時間も立ち張したり。

あとは、罠を仕掛けられた事もあります。
「ずーっと、尾行してきてましたよね。わかってるんですよ」って声かけられて…。そういった現場は、やっぱり印象に残っていますね。
探偵のリアルなお仕事
キャリア20年の藤原さん、探偵として常に依頼者様と向き合って仕事をしています。

探偵は営業をかけられない

探偵って、当たり前ですけど営業ができないんですよね。
『お宅の旦那さんが不倫してるかどうか、調査しますよ!』なんて飛び込み営業しようものなら事件が起きますよね(笑)
だから、今はほとんどがインターネット、それから、弊社は弁護士事務所様からのご紹介です。
ひと昔前は、タウンページ、新聞の折り込み広告、駅や街中の看板が主流でした。
それとポスティングですね。だいぶ減りましたが、今でも時々見かけます。
自社受件、自社調査へのこだわり
探偵の仕事の取り方は、大きく分けて直接依頼と下請けの2パターンに別れます。
直接依頼は、ご契約から調査、ご報告まですべて一貫して行う事。弊社はこちらのみです。
下請けというのは文字通り、受件した調査を自社で行わず、他の探偵社に下請けに出す事。他社からの下請け依頼要請を受ける事です。要は、調査を委託または受託する事です。
契約するのが元請け探偵社、調査をするのが下請け探偵社です。

全力探偵社は、下請けで調査を受けることはありませんし、下請けに調査を出す事もありません。
弊社が下請けを使わない理由はとても単純で「責任の所在があいまいになるから」です。
委託でも受託でも、下請けが行う調査は依頼者様の為にならないことが多いんです。
探偵は面談から調査、報告まで、自社でやるべき
ご依頼者様は、人生の一大事で探偵に依頼をしてきますから、皆さん必死なんです。
依頼者様の中には、探偵ならどんな事でも出来ると思っていたり、絶対に証拠は取れると思われている方も多いです。「出来るなら1回の依頼で決着を着けたい」と思っている方も少なくないでしょう。
しかし、前提として必ずしも証拠が撮れる、調査が上手くいくと言う保証はありません。
調査は常に「一発勝負」です。
初めて訪れる場所も多々ある中で、その都度状況を判断し、良い映像を収められるように必死に調査をしています。
それでも、どうしても避けられない突発的な事や、想定外の事が起こる事もあります。
一発勝負であるが故に、ドラマや映画の撮影のように、撮り直しが出来ません。
だから、不足の事態が起これば、どんなに実力がある探偵でも証拠を撮ることができない事はあります。

だからこそ探偵は、依頼者様と真摯に向き合ってお話をお聴きし、調査において必ず起こり得るリスクをしっかり説明する義務があると私は考えています。
直接、ご依頼者様の辛い想いをお伺いしているからこそ、調査員も必死に調査を行うことができます。
ところがいわゆる「大手と自称する探偵社」では、現場を知らない営業担当者が面談する事が少なくありません。
営業担当者は、多くの場合「契約額の数%を歩合として受取れる」契約をしています。
なので、依頼者様にとって有利なことだけを伝えて、結構強引に契約をします。
こういった会社は、ほとんどが調査を下請けに丸投げしていて、現場の調査員が「どう考えても無理でしょ…」と思うような案件でも、お構いなしに契約します。
こうなれば結果は明らかで「依頼者様の意にそぐわない調査結果」になってしまいます。

連携も意思の疎通も出来ていないから、良い調査が出来ない。良い調査が出来ないと言う事は、良い証拠が取れない。何もかもが悪循環なんです。
探偵業界の実態
最前線で活躍されている藤原さんだからこそ知る探偵業界の真実をお聞きしました。

広告と下請けで歪んでしまっている
先程お話しした通り、今も昔も探偵は広告で集客しています。
中には巨額の広告費を投じ全国から依頼を受け、地元の個人事務所に下請けで仕事を振り、その手数料を中抜きして利益をあげている事務所もあります。
この元請け下請け関係は、建築業界には多くある構図です。
下請けの構図
1.全国各地方都市で莫大な広告宣伝費をかけ集客
2.営業スタッフ(相談員)が契約(調査費用は1時間4万から5万円に登ることも)
3.調査は下請けの探偵へ依頼(一日3−4万円程度)
4.元請け社があたかも自社で調査したかのように調査結果を説明し調査報告書を提出
探偵業法では、下請け業者を使う場合は契約書に下請けを使う旨を記す必要がありますが、記載していない探偵社も少なくありません。
参照:e-GOV|探偵業の業務の適正化に関する法律(平成十八年法律第六十号)
広告は真実を語らず、高くつく
運よく実力のあるプロの探偵事務所が下請け受任し、調査が成功したなら、まだいいです。
しかし、実力のない探偵や、資金に余裕がなく十分な装備を持たない探偵が下請け受任してしまうと、使い物にならない写真をとってきたり、対象者にバレるなど「調査失敗」という結果に終わってしまうことも、残念ながら少なくありません。
広告のクオリティが高く、信頼度が高いように思える探偵社でも、このように下請けを使うことが少なく無いため、調査能力が高いかと言われればそうでもない事が多いです。

弊社にも「大手に依頼したけど、失敗してしまった!」と相談にいらっしゃる方がとても多いです。
そういう案件があるたびに『最初から弊社にご相談にいらしていれば…!』と、歯痒い思いをしますね。
それに、広告費は億単位ですから、そのしわ寄せは、当然のように依頼される皆さんのところに行きます…。大手を介した調査が高額になってしまうのは、こういうロジックがあるからなんですね。
探偵業界が変えていくべき所
藤原さんは、現在の探偵業界には、変えていかなければいけないところが沢山あると語ります。

料金支払いタイミング
まずは、料金支払いのタイミングですね。

今、ほとんどの探偵事務所が前払いですよね。
これ、本当にダメです。
報酬前払いと聞いた時点で「調査力に自信がない探偵社なんだな」と理解して欲しいです。(もちろん、経費など『なければ調査ができない費用』は前払いでいただいておく必要はあります。)
料金支払いのタイミングは絶対に後払い。
つまり、報告書を受け取った後に報酬を支払う形以外は信頼してはいけません。
中には、後払いと言っていても「報酬を払ったら報告書を作る」なんていう探偵社もあります。なので、支払いタイミングと合わせて、いつ報告書がもらえるのかもきっちり聞いておかなければいけません。
料金提示の仕方
探偵事務所に問い合わせると、「人によって料金が違うから一度相談に来てください。」と言われます。これは、依頼者様ご自身が、疑問に思わなければいけないポイントです。

まともな会社なら、基本料金をあらかじめ決めているはずです。
それが言えない、ホームページにも載せられない、と言うのはオカシイ話ではないですか?それでホイホイ出向いてしまったら探偵側の「言い値」で契約させられてしまいます。つまり、ぼったくられたとしても、わからない。怖すぎます。
例えばレストランにパスタの値段を聞いて「値段は、お店にきてもらえないと言えません」って言われたら、おかしいと思うでしょ?

事務所に自ら出向いて結んだ契約はクーリングオフの対象外になります。基本料金が提示されない場合、契約は慎重に!

実力の証=報告書を見せてもらう

探偵の実力を知るには、調査報告書を見せてもらうしかありません。
その探偵社が実際に調査して作成した「本物の報告書」を見せてもらう事が必須なのですが、これを自ら提示してくれる事務所はなかなかないんですよね。
ご相談の際に必ず、どういう報告書を作るのか見せるようにして欲しいですし、見せるべきだと思います。探偵社の唯一の商品が「報告書」なのですから。
「我々の調査員は全員探偵学校を卒業しています」と宣伝されている事務所もあるようですが、残念ながら探偵は才能が9割です。
どれだけ優秀な成績で探偵学校を卒業していても、優秀な探偵になれるとは限りません。
そういった宣伝文句だけで信用してはいけません。

逆に言えば、報告書がしっかりしていれば、他のオマケは必要ありません。
例えば「動画を綺麗に編集して渡します。」と言ったサービスを提供している探偵社も多いですが、調停や裁判では、基本的に書面の報告書しか用いません。
探偵社側が無料で作って渡すと言うのなら、貰えるものは貰っておいても良いでしょう。
しかし、それよりもまず報告書の出来を重視するべきです。
広告の問題
探偵業界は、本当に広告が過剰すぎですよね。どれも誇大広告レベル。
まず、前提として知名度やメディアへの露出は、探偵の実力とは全く関係ありません。
芸能人とコラボしていれば実力のある探偵ではありませんし、業界ナンバーワン!とホームページに書いてあっても、本当に業界No. 1の実力がある訳ではありません。

弊社にも、よく打診が来ます(笑)
「月うん万円払えばナンバーワンの称号つけますよ」って。そんなもの、求めていません。
でも、大手と言われる探偵社の広告宣伝の仕方はある意味関心します。
『業界No. 1』『最大手』『絶対証拠が取れる』と、巧みな言葉で、追い詰められている人の心の隙間に入り込むんです。
だからこそ、依頼者の皆さんが冷静になって見極めなければいけません。

何度も言いますが、探偵の実力を知るには報告書を見せてもらうしかありません。
探偵業界について思うこと
これからの探偵業界には、全てをはっきり、明確にして欲しいと思っています。
金額も、支払いのタイミングも、報告書も、調査体制なども、依頼者様が知っておくべきことはすべて明確にして、ご契約の際に必ず伝えて欲しいです。
もちろん、真面目にやっていて、実力のある探偵さんは沢山います。
しかし、探偵業界はクチコミが広がりにくく、小さな探偵社は大手のように巨額の広告費を費やすわけには行きません。
今の探偵業界では、実力はあるのに、その技術を安売りしなければならない方や、お仕事がなくて廃業してしまう方もたくさんいます。

探偵は職人です。
探偵は自分の技術にプライドをもち、仕事をするべきだと思っています。
真っ当にやっている、実力のある探偵が生き残っていくためにも、業界全体をもっとクリアにしていく必要があると思っています。
全力で依頼者と向き合い、全力で調査する。それが全力探偵社。
優しく、熱い眼差しで依頼者と向き合う真の探偵。
それが全力探偵社。


最高の証拠が取れた時は素直に嬉しい、思うような証拠が取れなかった時はその原因を徹底的に追求し、次のチャンスは逃さない。
私たちは、常に依頼者様に向き合い、依頼者様中心でお仕事をしています。
証拠は命。私たち全力探偵社は、良い証拠を撮り、依頼者の皆様の問題を解決する事だけを考えてお仕事をしています。
話し手:全力探偵社・藤原さん
聞き手:ホムズトーク編集部・峰